本当にストリーミングサービスは音楽家を救うの?音楽で暮らすための理想形を考える

text by 糸山晃司

Apple、Google、Amazon、Spotify、AWAなどの定額サービスが少しずつ日本にも浸透してきています。

誰もがアーティストとして作品を発表できるようになり、逆にリスナーは月額1000円で世界中の音楽にアクセスし放題。音楽好きにはなんたるユートピア。

って思ってる人はどのくらいいるのでしょうか?

世界中で音楽家を救うとも殺すともいわれる定額サービス。この記事ではそのベストな活用方法と、それから僕が思う音楽家にとっての理想の社会をちょっとだけ夢見ることにします。

ストリーミングサービスとCD

まずこれ。

CDでリリースする意味ある?という根源問題。

アマチュアミュージシャンにとって、知名度を広げる(一人でも多くの人に聴いてもらう)ことと収益を出すことのバランスを取ることは簡単ではありません。

家でじっくり音楽を掘る人よりも移動中や休憩中に音楽を聴く人の方が割合的には当然多いわけなので、スマホに音楽を携帯してもらうことを優先的に考えると、当然ストリーミングやダウンロード化はかなり有能ですよね。

でもCDのほうが収益化はしやすい。ライブで手売りである程度の枚数捌けるレベルならば。

そこで、そこそこ名の知れたインディーズバンドが使う手立ては、CD発売の2週間後にストリーミング開始という時差パターン。

コアなファンはその期間にCDを買ってくれるし、ライトなファンや音楽フリークはストリーミングで気軽に聴いてもらえます。

なんと言っても、ストリーミングサービスでミュージシャンに還元されるのは1再生あたり0.2円ほどが相場。

知ってもらうことが第一でなく、収益を立てたい場合は定額ストリーミングサービス1本立てでは無理です。加えて日本はなぜかCD文化が根強いので、CDを作ることはまだまだ主流ですね。(CDオンリーで売るのも考えものだが)

とは言っても、ストリーミングサービスを見捨てるのはあまりに勿体ないので、ベストな策はさっき挙げた時差パターンということにしておきます。

Apple Musicはあなたの音楽を広めてはくれない

例えばストリーミングサービスのレコメンドがもっと音楽マニア志向だったらいいんですけど、残念ながらそうではありません。

アルゴリズムでレコメンドされるのはすでに誰もがその名を知る大物アーティストの曲ばかり。無名の新人の曲と出会うことなどほとんどありません。

Apple Musicに広報の機能がないなら、あなたの知名度や発信力がすべてです。

地方でワンマンできるくらいの実績・実力あるミュージシャンならいかにもやりようがありますが、そうでないミュージシャンはやっぱり拡散力のあるレーベルからリリースするというのが結局ベストなんですよね、現状。

その前にまずは、週のリハを1回減らして、その分の時間を広報活動やDTMの練習に使うほうがよっぽど効率的だとは思います。

やっぱり自分でレコーディングできる技術を持ったり、できれば自主レーベルをもつことは最強です。バンドでもThe fin.なんかはそうですね、ヴォーカルの彼がエンジニア兼任してますから。音源制作にかかる費用はプレスだけです。

レーベルの中間搾取がなくなりますが、拡散は自分たち次第ってことですね。

クリエイターへのベーシックインカムがあれば

そんでそんで、ここからは個人的にミュージシャンにとって1番理想な社会を妄想します。

ベーシックインカムって分かりますか?

なにもしなくても暮らせるくらいの収入を得られる、って制度ですね。支給される最低限の生活保障よりも豊かな生活を送ろうと思えば、働くことに制限はありません。逆に、支給額で生活ができるのなら働く必要はなくなります。

スイスやフィンランドで試験的に実施されてり、国内でも堀江貴文さんらが積極的に提唱してるんで聞いたことあるでしょう。

今先進国諸国ではアートの重要性が再定義されています。アートで地方創生ってのもメジャーになってきましたしね。

前に「いつまで夢を追う?バンドを「趣味」と割り切る時期とは」という記事で生活とバンドについて考えたんですが、やっぱり才能あるクリエイターが生活の心配なく創作できるってめちゃくちゃ素敵でしょ。

例えば福岡で、審査に通ったミュージシャンは毎月7万円のインカムを得られます、ってなったら。

そりゃ全国から音楽家が移住してくるでしょうよ。

いや、野党の意見も分かってますよ。じゃあ誰がどんな基準で審査するの?財源は?

そんなこと考えてません。妄想だから。

でも最近クラウドファンディングやらでお金の動きが変わってきてるじゃないですか。CAMPFIREなんかが主体となって。このへんは分からない人はちょっと調べれば分かります。キーワードは「クラウドファンディング」とか「polca CAMPFIRE」とかです。

そのうちアートに理解と支援力のあるどこかのIT企業がそんなアーティスト・ベーシックインカムサービスを始めぬものかと期待してます。

本当にストリーミングサービスは音楽家を救うの?

救いません。

CDが良いもストリーミングが良いもなく、結局は音楽家の実力と音楽以外のブランディングスキルです。

アート分野のベーシックインカムはあり得ないことはなさそうな未来ですが、まずは録音技術と機材と発信力を揃えましょう。お金かけずとも音源発表できるベースがあれば、絶対にできること広がります。

こんなところで以上、一周回ってベーシックインカムを期待しただけの記事でした。