「納得するまでブレてやろう」マルチプレーヤーの辿るストリート:不破毅士 後編

text by 糸山晃司

不破毅士のこれまでを振り返った前編に続き、ここからは近年の活動と彼の語る展望をお伝えしていきます。

OP-1との出会い

不破毅士の現在の音楽を語るには外せないOP-1。これはスウェーデンのメーカーTeenage Engineeringのシンセサイザーで、世界中でコアなファンを獲得し続けています。

自分のサウンドの主軸として、不破はOP-1を駆使し、またOP-1の広告塔としての役割も担い、インターネットで利用動画を公開しています。

――OP-1を使い始めてやりたいことも具現化できてきたし、何より耳の早い東京や関西に人に聞いてもらえる機会が増えた。これは福岡にはない魅力。

東京では自分の音楽がウケる。需要を感じる。福岡はまだまだ遅れている。不破が感じた福岡という街の「遅れ」は、決して勘違いや自惚れではありません。 

前衛的なスタンスを持った電子音楽家が地方に感じるどこか理解されていない浮いているという感覚。コアな音楽の意図が汲み取られない感覚は、決して彼だけが感じているものではないものでしょう。

――理解してくれる人、同じ感覚を持った人が集まる東京や関西に行くのに迷いはなくて、わざわざここで頑張る必要ないかな、と。

環境においても付き合いにおいても取捨選択が激しいと自身の性格を語るように、まるでざるで濾すかのように、不必要な要素を切り捨てていく日常。

――ソロでの活動は「評価されないと意味がない」と思っていて、だから分かりやすさや親しみやすい音は意識してる。SNSでOP-1の演奏動画を公開するのも、「面白いことしてるやつがいる」って認知してもらう必要があるから。

時代の先端にあるシンセのプロモーションも兼ねた彼のインスタグラムも、自身を知ってもらうための間口として。

売れてるもの、聞きやすいものを意識しながらも機材やスタイルは実に玄人好み。パーツパーツでポピュラーとコアのバランスをうまく保っており、多方面からの興味を集められる活動を行っています。

福岡への思い

福岡での活動にこだわりはないと言う彼ですが、自身のロードムービーは間違いなくここ福岡にある彼。福岡に対する思いや考えを聞きました。

――関西はストリートショップがそこら中にある。ちっちゃいプレハブでビールとコーヒーだけ売ってるようなとこにストリートが好きなヤツが集まって、そこで友達ができて趣味が繋がり仕事も生まれる。

福岡にもSTEREOやmanuがあってその役割を担ってはいるが、、そうやってシーンをつくれる存在の絶対数が東京、関西とは違いすぎるのが現状で、カルチャーや音楽フリークがチャージもなく気軽に集まれる場所やその文化自体が不足している福岡。

福岡でカルチャーが集うSTEREO COFFEE

同属性の人が集うお洒落な場所やシーンを形成す拠点が福岡にいくつもあれば、そこでコアな音楽も流行り、耳の早いリスナーから徐々に一般に浸透させていくこともできます。

そうやって音楽家が育つ土壌を福岡に作る過程の一部として一役買うことができれば。不破のこれからのロードムービーにもしっかり福岡のビジョンがあること、同世代で同じ志を持った人脈とすでに繋がっていることに一種の安堵や信頼すら覚えます。

3年後に帰福したい

――カルチャーが福岡に根付くのに3年くらいかかる。そのころに東京から戻って福岡のシーンの盛り上がりの中心に居たい。

短期的、長期的に、しかも実に明確な目標を掲げている目の奥、彼のその行動力を支えているのは、単純な音楽好きとしての性でした。

――人生で1番音楽やって楽しかったのは高3の文化祭の前日のリハ。あの時の面白さはまだまだどこかにあるはずで、その瞬間をずっと探してる。

サポートドラマーとして西へ東へ飛び回ったあの時も、これからの東京での新たな挑戦でも、いつでも自分の意識が還る場所は高校生の初ステージと語る不破。

「未来は分からないんだから」

影響されブレやすい性格だからこそ、今いる環境の中でブレまくりながら遠回りしながら、それでも1番面白くてカッコいいと信じたことを追求する。その姿は高校生のあの頃から一寸たりともブレてはいません。

「納得するまでブレてやろう」マルチプレーヤーの辿るストリート:不破毅士 前編

takeshi fuwa :Drummer、Track Maker
op-1とサンプラを軸に楽曲制作をし、ドラマーの解釈でトラックメイクしライブ活動中。数多くのアーティストのサポートドラマーとしても活動、数多くのフェスにも出演。
Instagram