「シーンを牽引するアイコンへ」奔走する野望:MADE IN HEPBURN 森山タカヒロ 前編

text by 糸山晃司

梅雨明け間近、汗だくで登場した彼の取材場所はREC COFFEE。

昨年、森山タカヒロBANDに終わりを告げ、突如新しいプロジェクトを始動させた森山タカヒロ。

これまでの音楽、これからの人生について切り込みます。

親の影響で自然と聴いていた音楽

長男の森山タカヒロは、親がよく車の中で聴いていた荒井由実や井上陽水で音楽に興味を持ちます。

初めて買ったCDは宇多田ヒカルのFirst Love。ここまではテンプレ通りの平成生まれの少年ですが、いかにしてプレーヤーの道に進んだのでしょう?

――中学のころ、仲の良かった友達とバンドすることになって、ギターは埋まってたからベースを買ったのが最初。そのあとベースはすぐやめてピンボーカルにとにかく憧れた。

2000年代初頭の当時カリスマ的人気を誇っていたブラフマンやエレファントカシマシに憧れ、華あるピンボーカルとして音楽の一歩を踏み出します。

転機は高卒後の専門学校

高校卒業後には、友人が音楽学校へ行くのをきっかけにC&S音楽学校へ進学。

――ボーカルコースでボイトレだけは一生懸命やってて、当時の先生にギターを持たされたのがオリジナル曲を作り出したキッカケ。

その当時20歳。決して早いとは言えないギター経験の始まりでしたが、これを機に自作曲を生み出し、ソロで森山タカヒロとして天神のライブハウスに繰り出します。

この頃には、時代錯誤な体制のライブハウスで見ず知らずの人に交じって40分×2のステージをこなしていたという武者修行ぶり。

――レコーディングがやりたくて、サポートで手伝ってくれって頼んだのが後で結成する森山タカヒロBANDのオリジナルメンバーの3人。川越なんか上京してたけど呼んだら快諾!笑
みんなバンドやりたくてうずうずしてたんじゃないかな?

レコーディングのサポートを依頼した流れで、勝手にツアーも組んでそのメンバーを引き連れていったという強引なスタートだった森山タカヒロBAND。思い切ったバンド名の由来もここにありました。なるほど、森山タカヒロのサポートから始まったバンドだったんですね。

彼らがライブハウスに進出した時期は、ちょうどHOLIDAYS OF SEVENTEENが上京した後、ちょっとしたシーンが終わり、また一層若い世代が盛り上がり始めた時期でもありました。

純粋にライブが楽しかった

――とにかくライブやって反応をもらえるのが楽しくて、とにかくライブをやってるうちに福岡の中心にいた。

当時の福岡のバンドシーンは、IRIKO、クロマチックラン、BAND A、そして森山タカヒロBANDと、同世代の若いバンドがひしめき合っていました。国内音楽シーンにおいてギターロックが絶好調だったこともあり、ジャンルとしてもバンドとしても表立った界隈の中心に確かに立っていました。

そして2013年、地方でのサーキットフェスの先駆けとも呼べる「YOKA fes」を開催。

天神のいくつものライブハウスを巻き込み、30ものバンドを集めてのライブハウス型フェスでした。

今でこそサーキットフェスもかなり浸透していて、日本各地・大小様々なフェスが開催されていますが、東京大阪以外の地方で、しかも1バンドが主催するというのは稀有な例。右も左も分からなく、とにもかくにも多忙。バイトする暇もないので生計も立てられず、やむを得ず実家に一時的に帰らざるを得ないほどでした。

YOKA fesは翌年まで開催。森山タカヒロBANDは、バンドとして一つの集大成をこのフェスで形にしました。

――YOKA fesでなにかやりつくした感があって、その後1年はスケジュールを消化するだけ。フラストレーションが自分含めてみんな相当溜まってたと思う。

YOKA fesが終わったこの時期に福岡のロックシーンに衰退を感じた人も多かったのではないでしょうか?

森山自身も、バンドの存在意義をこれでもかというほどに押し出したサーキットフェスを終え、メンバー脱退もあり次の指標を見失います。福岡のロックシーンにかつての盛り上がりも感じなくなった森山は、静かに「森山タカヒロBAND」というプロジェクトに終わりを感じていきます。

――自分はずっと好きでライブをやってきて、これから先も好きだから音楽をやると思う。今は音楽だけじゃなくてカルチャー全体に興味を持っている。

いつでも好奇心が原動力でした。

これまでの音楽学校やソロ活動、バンド活動も。

森山タカヒロBANDという一章を終えた森山が次に好奇心を向けた先とは?

後編に続きます。

森山タカヒロ:シカゴ発?福岡在住グループ MADE IN HEPBURNのメンバー。ボーカル、ギター、シンセサイザー、サンプラーなど用いて様々なスタイルの音楽を発信しつつ、周りの面白い人を巻き込みながら飄々と活動中。元ヤン。
Twitter,MADE IN HEPBURN