「作曲は研究。降りては来ない」福岡が誇る才能:Takumi Nishimura(the perfect me)後編

text by 糸山晃司

シンセサウンドを基調にミニマルやロックのエッセンスも含み、どこか実験的でありながらめちゃくちゃスマートにまとめられた音楽。

Deerhoofの曲から取った名を持つバンドは今や、福岡のカルチャーでも異彩を放つ才能です。

生い立ちを追った前編に続き、後編ではその奇才な音楽観に迫ります。

普段聴く音楽は「バッハ」

音源は基本的に録音、ミックス、マスタリングまですべて自分でやるという彼。元手はゼロ、プレス費のみでアルバムをリリースしました。※17年2月にアルバム「INTO THE HOUSE」をDead Funny Recordsからリリース

――普段聴くのはスティーリー・ダン、ドナルド・フェイゲンとかです。新しいのは全然分かりません。あとはバッハをよく聴きます。最近ピアノ始めたんで、バッハ弾きたいと思ってます。クラシックを弾けるようになりたくて。

最近はクラシックを好んで聴き、ほかにはAORもよく聴くといいます。普段聴きがクラシックというバンドマンも珍しいものです。

――ロマン派が好きじゃなくて。ベートーベンは大嫌いです。バッハはとにかく曲がいいんですよ。オーケストラ形式の曲も作ってみたいですね。

曲を作るのは研究みたいなもの

――いつも「こういう曲がつくりたい」っていう構想から曲を作り始めます。展開や流れが不自然にならないように、聴いてて違和感を残させないようには気をつけて作っています。ライブより音源作る方が情熱が向きます。音源というか、いい音で録りたい、というところですかね。

音楽を聴くときも、音の質感や楽器の音自体の良し悪しを気にして聴く、まさに職人気質。

――曲づくりも録音もそうですけど、僕の中で研究みたいな感じで。いい研究成果が得られれば1番嬉しいです。最近は、曲中でルート音をいかに気づかれずに半音ずつ下げていくか、みたいなことに挑戦しました。セブンスやナインスは有りで、でも転調にいかに気づかれないか、みたいな。

ある構想の曲を作るときに自身の中に課題意識を持ちながら、それをうまくクリアできたときにテンションが上がります。それはさながら研究で、細かい音像や質感にもこだわります。

――基本的に「曲が降りてくる」みたいなことは信用してないです。

かなりロジカルに綿密に曲を作る彼。誰かの曲を聴いていいと感じた時も、何がいいか、どうしていいと思ったのかを考えてしまうと言います。そういうことばかり考えてるから、どうしたら売れるか、とか東京に行ったほうがいいのか、みたいなことは全然考えません。根っからの音楽オタク。間違いなくこの熱量が彼の音楽がかっこいい理由です。

今の夢はいい環境で音を録ってみること

音や録音が好きということから、将来的に誰かのプロデュースのようなこともやってみたいと言います。たしかに、冷静に音楽そのものを分析したり、それを曲作りやレコーディングに昇華できるあたりも、プロデュースやアレンジャーに向いている気がします。

――将来の夢は、うーん、いいスタジオでお金かけてレコーディングしてみたいですねぇ。

肩の力が抜けるようなマイペースさ。それでありながら音に対するこだわりとあふれ出すセンスが光るアーティスト、Takumi Nishimura。そうした感性とは裏腹に、理論を積み上げて曲をつくりあげるスタイル。天才肌、オタク、という言葉が似合う彼ですが、音楽以外の趣味なんかもあるんでしょうか。

――オンラインで将棋やるのが趣味です。結構やってるんでたぶんそこそこ強いと思いますが・・・。

Deerhoofの曲から取った名を持つバンドは今や、福岡のカルチャーでも異彩を放つ才能です。そんなバンドのフロントマンはいかにも職人気質な研究者です。

Takumi Nishimura:1995年生まれ。福岡市在住、the perfect meのkey.Gt.Vo担当。2017年2月に初の全国流通版アルバム「INTO THE HOUSE」をリリース。